《アレルギー性鼻炎の改善》
アレルギー性鼻炎は、特定の物質(アレルゲン)に対する免疫反応が過剰に起こり、鼻の粘膜に炎症が生じる疾患です。主な症状としては、くしゃみ、鼻水(水様性)、鼻詰まりなどが挙げられます。
アレルギー性鼻炎の治療法は、症状や原因によって異なります。一般的には、薬物療法(抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、抗菌薬など)、鼻うがい、生活習慣の改善などが行われます。
漢方薬で治す方法は、症状や体質によって異なります。漢方薬は、西洋薬とは異なり、体のバランスを整えることで症状を改善していくものです。
アレルギー性鼻炎には、水様性の鼻水やくしゃみが特徴の寒証タイプと、鼻詰まりや粘り気のある鼻水が特徴の熱証タイプがあります。
寒証タイプには、小青竜湯や麻黄附子細辛湯などが用いられます。これらの漢方薬は、体を温め、鼻水を抑える効果があります。
熱証タイプには、辛夷清肺湯や葛根湯加川芎辛夷などが用いられます。これらの漢方薬は、炎症を鎮め、鼻詰まりを改善する効果があります。
また臓腑では、肺・脾・腎の機能が低下すると鼻炎になりやすいとされています。
体質改善のために、腸内環境を整えることが大切である理由は、以下の3点です。
- 免疫力の向上: 腸内には、体の免疫細胞の約7割が存在しています。腸内環境が整うことで、免疫細胞が活性化し、免疫力が向上します。免疫力が高まることで、アレルギー反応を抑制したり、炎症を抑えたりする効果が期待できます。
- アレルギー反応の抑制: 腸内細菌のバランスが崩れると、アレルギー反応を引き起こす物質が過剰に産生されることがあります。腸内環境を整えることで、アレルギー反応を引き起こす物質の産生を抑制し、アレルギー症状の緩和に繋がります。
- 炎症の抑制: 腸内環境が悪化すると、炎症を引き起こす物質が産生されやすくなります。腸内環境を整えることで、炎症を抑える物質の産生を促進し、炎症を抑制する効果が期待できます。
プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂取することも、腸内環境を整えるのに役立つ可能性があります。
腸内環境検査を受け、自分の腸内細菌叢の状態を知ることもできます。
最も簡単な方法は、オリゴ糖の摂取です。普段使っている砂糖をオリゴ糖に変えると腸内細菌の餌となり、自分自身の善玉菌が増えてきます。
その他、甜茶(てんちゃ)にはアレルギー症状を緩和する効果が期待できるポリフェノールが含まれています。また、オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、アレルギー症状を緩和する効果が期待できます。
症例1:アレルギー性鼻炎
30代女性、主訴:アレルギー性鼻炎
20代半ばくらいから突然鼻炎になりました。特にくしゃみと鼻水がひどく、ティッシュペーパーを持たずに外出できません。花粉対策のためにマスクをしていると顔がかゆくなり、時々目の痒みもあります。1年中症状はありますが、中でも2月末くらいから悪化して、5月まで続きます。病院でお薬を出してもらっていますが、薬を飲むと体がだるく、時には全く効きません。漢方薬で治りますか?
困っている症状
病院での診断は、アレルギー性鼻炎(スギ花粉の他多数のアレルゲンがある)です。
・花粉対策のマスクをしていると顔がかゆくなる
・目がかゆくなると涙が止まらなくなる
・病院の薬を飲んでも効かない日があるし、頭がボーっとする気がする
・
体質と生活習慣
・子供のころアトピー性皮膚炎があった
・体に良いと言われて、お水を一日1リットルぐらい飲んでいる
・外食が多く、どちらかというと揚げ物や、お肉料理が好き
問診と糸練功で確認したところ、お困りの症状は、肺と脾の機能が低下したことが原因で、気と水(体に必要な水分)の巡りが悪くなったことによると考えられます。
症状を改善するために
①水分代謝を改善するお薬
②腸内環境を整える補助薬をお出ししました。
服用をはじめてから、腸内環境が整ったため、便秘が改善しました。その後、病院の薬が効かない日が無くなり、2種類処方されていた薬が1種類になりました。3か月後には病院の薬を飲まなくても鼻炎の症状がでなくなり、漢方薬の量も徐々に減ってきています。まだ、完全に治ったわけではありませんが、気が付いたらマスクをしていてもかゆくなることは無くなっています。
症例2:アレルギー性鼻炎と冷え性
40代女性、主訴:アレルギー性鼻炎と冷え性
春と秋に鼻炎がでます。普段から手足が冷えやすく、季節の変わり目にはお腹が痛くなり下痢気味になります。普段はドラッグストアで鼻炎の薬や下痢止めの薬を買っています。漢方薬で体質改善ができますか?
困っている症状
・薬を飲んだら鼻炎の症状は治まりますが、眠気とのどの渇きが気になります
・下痢止めを飲むと下痢は止まりますが、そのあと便秘になります
・年々症状が悪化しているような気がする
体質と生活習慣
・若いころから冷え性
・冷たい飲み物は飲まず、暖かいハーブティーを飲んでいる
・くしゃみがひどいので電車に乗ると気を遣う
問診と糸練功で確認したところ、お困りの症状は、脾の機能が低下したことが原因で、血の不足で体を温めることができにくくなり、また水(体に必要な水分)の巡りが悪くなっているためだと考えられます。
症状を改善するために
①血を補いながら冷えをとるお薬
②水分代謝を良くする補助薬
③腸内環境を整える補助薬をお出ししました。
服用をはじめてから、お腹が冷たく感じることが無くなってきました。すぐに感じたのは、鼻水の量が減ってきたことです。風邪をひくと必ず一時的に鼻炎になって鼻の症状だけが残っていたのですが、それもなくなりました。今は、お腹の調子もよいので腸内環境を整える補助薬だけ継続して飲んでいます。