症例

不安神経症

《不安神経症(不安障害)》

不安障害は不安感とそれに伴う身体症状を現す病の総称として位置づけられています。不安という感情やそれに伴ってドキドキするといった身体症状は誰しもが感じるものです。しかし不安障害の場合は、それが日常生活に支障をきたすレベルで発生します。突然の動悸やめまい・息苦しさに襲われ、死ぬんじゃないかと思うほどの恐怖を感じるといった症状をパニック発作といいます。漢方医学で重視する概念のなかに「心身一如(しんしんいちにょ)」があります。 心と体はつながっていて、心の不調が体の症状に影響したり、体の症状が心の不調を招いたりします。東洋医学でいうところの「心(しん)」は、血液循環と思考や判断などの精神活動をつかさどります。

また、「心(しん)」は、心臓だけではなく血液循環と心(こころ=精神活動)をさします。

そのため、心の不調時は、不安感・不眠・記憶力・集中力の低下などの精神症状が現れやすくなるとわれています。また、心を安定させるには栄養物質(血)が必要なので、血を作る機能が低下すると症状を悪化させてしまうことがあります。

 

症例1.不安神経症

 

50代女性、主訴:継続する不安感

最近母親が亡くなってから突然将来のことが不安になり、夜中に心臓がドキドキして目が覚めたのをきっかけに、すべての出来事が悪い方に進むような不安感に襲われます。最近では、テレビのニュースを見ることが苦痛になっています。更年期障害だと思い病院に行ってホルモン療法を受けているのですが、症状が治まりません。電車に乗ると息が苦しくなることがあるので、抗不安薬を飲んでから乗ります。

 

困っている症状

病院での診断は、不安神経症です。

・夜中に心臓がドキドキして目が覚める

・テレビのニュース(災害や事故)を見るのが苦痛

電車に薬を服用しないと乗れない

 

体質と生活習慣

・昔から貧血気味だが特に痩せている方ではない

・食事は胃腸が弱いので気をつけて自炊しているが、甘いものが好きで小食

 

問診と気功(糸練功)で確認したところ、お困りの症状は血(けつ)を作る機能の低下によって心の栄養不足が起こり、その結果不安感が出ていると考えられます。

 

症状を改善するために、

①血(けつ)を作る機能と心(しん)の機能をアップする漢方薬

血(けつ)を補う補助薬をお出ししました。

 

服用を始めて、3週間たったくらいからニュースを見ても、それほど苦痛ではなくなりました。また、2ヶ月を過ぎるころから夜中にドキドキして目が覚めることはなくなりました。まだ不安を感じる日もありますが、少しずつ友人と電車で出かけることができるようになっています。

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